「市民による新潟駅南口広場の活用計画づくりワークショップ」がスタート!~第1回WS結果報告~

新潟駅周辺整備にあたっては、平成11年度に開催された「わいわいガヤガヤ駅サイト」で、市民が整備について夢を語り合いました。その後提案競技、基本設計、実施設計の重要な場面で、多くの市民参加の機会が作られてきました。現在、平成21年の国体開催に向けて、広場の工事が始まっています。
 広場は、ただできればいいのではありません。誰がどのように使うかが重要です。市民が知恵を絞りあい、市民の手で活用したい。そんな思いから、この「南口広場活用計画づくりワークショップ」を企画しました。
 そして第1回目のワークショップを、平成19年12月6日(木)の午後7時から、プラーカ2の7階で開催しました。平日夜の開催にも関わらず、約50名の方々からご参加頂き、主催した私たちも大変嬉しく思っています。
 
b0044653_12303096.jpg今回は、コンペ以降、設計チームの一員として広場の設計に携わってこられた中野恒明さん(アプル総合計画事務所所長・芝浦工業大学システム工学部環境システム学科教授)を講師にお招きし、「全国の公共オープンスペースの活用事例」をご紹介頂きました。
 「街づくり」ならぬ「街づかい」が大切であること。街づかいは、日本では十分に行われておらず、事例が多くないこと。新潟独自の活用方法と運営方法を市民が中心となって考えることが重要であること等々、新潟市民への期待と共に大変参考になるお話しを頂きました。
 講演後には、参加者同士で広場活用に関する意見交換も行い、第1回のワークショップはお開きとなりました。
 今後は、今年度内にさらに2回のワークショップを開催し、南口広場のオープニングの際、市民主催のイベントが開催できるよう、活用アイディアの検討や体制づくりなどを議論して行く予定です。

【講演レポート】
b0044653_12324315.jpg 講師の中野さんのお話しを、ダイジェストでご紹介します。
日本の「街づかい」は発展途上

 通常、駅前広場というと中央部に交通広場が配置されるのが一般的です。しかし、これから整備する新潟駅の駅前広場は、人が利用する広場が真ん中に配置されます。実は、こうした例は全国的にも皆無です。新潟が初めてのケースとなるのです。そこで、今回お話しするのは「公共オープンスペースの活用事例」ということで、新潟でも参考になるような事例を紹介したいと思います。
 公共オープンスペース、つまり道路や河川などのオープンスペースを、市民が中心となって活用する動きが、今、盛んに取り組まれています。いわゆる「街づかい」です。日本の街づくり(ここでは主にハード整備)は、世界的に見ても、それなりのレベルに達しています。しかし、整備された街をどう活用していくかというソフト、いわゆる「街づかい」については、まだまだ不十分です。残念ながら、日本での「街づかい」の事例、それも市民が主体となっているものは、それほど多くありません。
 本来、駅前広場は道路(道路法、道路交通法での規制)です。これまでに全国各地で、社会実験としてオープンカフェ等の取り組みが行われています。今後は、社会実験から本格設置へと展開していくでしょう。そうした意味では、今は、可能性を探る過渡期であると言えます。

多様な催しを年間200日以上開催(北九州市・門司港)
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 戦前は横浜・神戸と並ぶ港町でしたが、年々、街が寂れてきていました。そこで、門司港周辺の再開発を行うことになり、私が計画・設計を担当しました。おかげさまで、今ではJALの機内誌にもトレンディな街として紹介されるなど、多くの観光客が訪れるようになりました。
 当初は、港を埋め立てる構想でしたが、それを変更し、水辺を残す形で整備を行いました。水辺周辺にはベンチを整備し、市民(周辺の店舗の人々)がそこにパラソルを立て、人々が憩える空間を整備しました。そうしたところ、常に人の気配がする空間となり、賑わいが生まれました。
 また、歴史的建造物である駅舎を活かすために、交通広場を正面にせず、少し脇にずらし、その横に50m四方の広場を整備しました。この広場の整備にあたっては、市が中心となり、3カ年かけて広場を利用する市民組織を立ち上げました。その結果、現在は、年間200日以上、この広場で何らかの催しが行われています。街頭結婚式やフリーマーケット、ビアガーデン等々、多彩なイベントが、市民主体で行われています。
 街づかいの主役は市民です。設計者は、あくまでも舞台を整える役割でしかありません。新潟の駅前広場においても同様です。主役である市民が、広場をどう活用するか、主体的にイベントや催しをどう企画・実行していくかが、最も重要なことであり、私たち設計者もそうなってほしいと期待しています。

地元住民による「まちづくり応援団」が多彩な催しを展開(出雲市)
 道路拡幅に伴い歩道が7mに広がる通りでの事例です。計画作成段階では、住民参加ワークショップを数回行いましたが、ここから地元住民の方々が「まちづくり応援団」を組織し、ここが中心となって、通りで様々な取り組み(フリーマーケットやキャンドルイベント等)を展開しています。

水辺のオープンカフェが市内各所に(広島市)
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 広島市では、98年から00年にかけて社会実験を実施しました。市内を流れる河川沿いの遊歩道及びその周辺で、カフェの営業を通年行ったのです。実験の結果、現在では全市的にオープンカフェが広がり、定着しています。
 カフェは市の福祉協議会が主催し、運営を沿川の民間事業者(ホテルの飲食部門など)に委託する形式を取っています。営業の上がり(=利益)は、福祉協議会に入るという仕組みになっています。
 道路空間の場合、飲食店等を出すとなると、警察・保健所の許可を得るのに様々な制約があり難しい面がありました。そのため、広島市では、まずは河川空間に着目して実験を行ったという背景があります。沿川のホテルの飲食店が水辺の脇に出店する形で社会実験を始めたところ、それが定着し、市内のあちらこちらにも飛び火しました。また、週末になると水辺コンサートも各所で行われるようになった他、アーティストによる街角アートもあちこちで行われています。
 広島市には、道路や水辺などの公共空間で、催し(イベント・オープンカフェ等)を行う場合、どこで行って良いか、手続きとしてどんな手順が必要なのかを記したマニュアルがあります。催しの内容が決まれば、関連する法規制と必要になる許可申請等の詳細が記されています。

多様な団体がボランティアで各種催しを企画・実施(横浜市鶴見駅西口)
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 もともと駅前の不法駐輪を防止するために、市民が中心となり、駅前のスペースで週末にオープンカフェを含めた様々なイベントを始めた事例です。週末になると人で賑わい、不法駐輪問題も解決されたそうです。
 ここでは、「鶴見駅西口オープンカフェ応援団」という形で、イベント開催に協力してくれる方々を募集しています。年に1回以上この場所でイベントを行うことを条件に、ボランティア団体・福祉団体・学生・NGO・会社・市民などに声を掛け、応援団として登録してもらう仕組みになっています。これはあくまでもボランティアですので、強制されるものではありません。無理なく、楽しく続けられることを基本にしています。その結果、様々な方々がここで色々な催しを行うようになり、年間を通じてイベント開催ができる仕組みになっています。

オープンカフェで不法駐輪問題を解決(新宿駅東口モア街)
 不法駐輪・駐車を取り締まるために、幅員22mの道路でオープンカフェを実験的に開くようにしたところ、不法駐輪・駐車がほぼ無くなりました。今では常時開設(社会実験を継続する形で)するようになり、人で賑わっています。ちなみに、道路は区の道路で、お店は地元の商店街振興組合が主催しています。

ビアガーデンの開設で夏は市民の憩いの場に(札幌市・大通公園)
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 幅員100mの道路中央にある広場では、冬は雪祭り、夏はビアガーデンが開設されています。ビアガーデンは、開催期間中(約2週間)は数千万から億単位の売上げがあるようです。当然、主催者から場所の占有料を徴収しており、1回で200万の収入が市に入るようです。既に札幌の夏の風物詩になっており、短い夏を市民が楽しむ場となっています。

新・南口広場では30m四方のスペースをフレキシブルに使用できる
 今後、整備が計画されている新潟駅の駅前広場は、万代広場で幅約50m、南口広場では幅約60mの歩行者中心の広場が中央に配置されます。一般的には、ロータリー等の交通広場が中央に来るのですが、新潟駅では交通広場を東西に分け、歩行者のための広場を真ん中に持ってきました。そして中央の広場には、樹木を植え、木々の緑の下で様々な催しなどが行えるような設計になっています。全てが完成するのは15年先になりますが、南北合わせると幅60m、長さ300mの広場が駅に整備されることになります。
 南口広場は、幅が約60mありますが、歩行者の通路部分もありますので、実際には、30m四方のスペース内で催し等を開催することになると思います(そのスペースは、柵で囲えるようになっています)。

広場には給排水・電源設備も備わっている
 飲食などのお店が出ても良いように、汚水升も整備してありますし、清掃用ということになっていますが、散水栓も何カ所かに設置します。イベント用の電源も何カ所かに設けてあります。ただし、大容量の電力が必要な場合は、発電機を準備する必要があります(常設にするよりも経済的にこちらの方が有利なため、設計上は常設にしませんでした)。

まずは市民主体で南口広場の活用を進めていくことからはじめよう
 駅構内には、広場と同じ幅で通路とお店が(真ん中にお店が入り、その両側が通路になる形状)整備されるようです。市民にとっては、どんなお店が入るのかが関心の的になると思いますが、いずれにしても、まずは南口広場を成功させ、その後に駅構内・万代口広場のことを考えていくことが大切だと思います。
 新潟市では広場条例が既に制定されています。このことは、制度的な環境が他都市に比べて整っている状況にあると言えますので、駅前広場(イベント可能広場)を自由に使用できる可能性も高いと思っています。

広さ的には様々な催しの開催が可能
 今回紹介した事例の道路・広場と、整備する南口広場の大きさを比較してみましょう。
 札幌市の大通公園は、真ん中の広場は幅が65m、長さは1街区100mあります。ただし、幅については、両側に緑地帯と通路がありますので、実際に使える大きさというのは、新潟駅南口広場と同じぐらい(約30m)になります。
 その他の事例についても、だいたい幅は25〜40mぐらいのところです。ですから、ここで紹介した催し等は南口広場でも十分考えられると思います。

新潟独自の活用方法・運営方法を考える
 最後になりますが、今回の新潟駅駅前広場整備にあたっては、コンペ段階で「市民の想い」という分厚い冊子を頂き、また、ワークショップを通じて様々な市民意見を頂きながら設計作業を進めてきました。設計者にとっては、これがずいぶんと重くのしかかりましたが(笑)、言うなれば、市民が広場の活用をかなり真剣に考えていることの現れであると、私たちは受け止めました。
 設計の段階から、使い勝手に関する市民意見を取り入れて進めたというのは、全国でも新潟が最初だと思います。ですから、市民の皆さんが中心となり、新潟独自の活用方法を、ぜひ考え実行してほしいと、私たちは願っています。
 当面は、2009年に南口広場が完成します。この広場をどう使い込んでいくのかが、皆さん(新潟市民)に課せられた宿題です。
→質疑応答の内容はこちらから。

中野さんの講演後、参加者同士で意見交換を行いました。b0044653_13102269.jpgb0044653_1310397.jpgb0044653_13105748.jpg
事例紹介を受けての意見交換ですので、必然的に新・南口広場の活用方法に関する内容が中心となりました。

今回は平日の夜開催ということもあり、意見交換の時間は十分に取れませんでした。ですので、次回(1/20)のワークショップでは、広場の活用アイディアに関する意見交換を中心に行う予定です。
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by niigata-eki | 2008-02-11 12:54 | ワークショップ結果報  

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